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003 恋〈レン〉の願い

last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-23 11:00:26

「恋ちゃんと彼氏くんの未来が見たいと」

「うん、そう」

 ミウを見つめる恋の瞳は、キラキラ輝いている。

「私たちってね、子供の頃からずっと一緒だったんだ。親も仲がいいし、お互いの家にお泊まりとかもよくしてたの。

 私はずっと、蓮〈れん〉くんのことが好きだった。蓮くんってね、いつも本ばっかり読んでいて、友達もいなかったんだ。外で遊ぶこともあんまりなかった。

 でもね、私がお願いしたら一緒に遊んでくれるの。それがすごく嬉しくて……いつの間にか蓮くんのこと、好きになってた。

 いつか付き合いたいって思ってたけど、でもほら、こういうのって女の方から言うのも恥ずかしいじゃない? だから私、ずっと待ってたの。蓮くんに告白されるのを」

 瞳を爛々と輝かせてまくし立てる恋に、ミウは苦笑した。

「半年前、ついに願いが叶った。蓮くんが告白してくれたの。そりゃもう、あの蓮くんだからね、分かるでしょ? 顔真っ赤にして、何言ってるのか聞き取れないぐらいぼそぼそと、なんだけどね」

 いやいや僕、蓮くんのこと知らないし。ミウが心の中で突っ込んだ。

「でもね、それでも嬉しかった。蓮くんが勇気を振り絞って告白してくれた。涙まで浮かべて、必死になって私に伝えてくれた。

 その姿を見てね、私、ちょっとだけ後悔したの。こんなに大変なことなんだったら、私の方から告白しちゃえばよかったって。男だとか女だとか言う前に、自分の気持ちに正直になっていればよかったって」

「まあ一理あるかな。人間の社会ではそういう役割、男の方がするみたいだけど、女の方から求愛する生物もいることだし」

「でも嬉しかった。だから私、その場で蓮くんに抱き着いちゃったの。そして『私でよければお願いします』って言ったんだ」

 そう言ってまた枕に顔を埋め、「きゃーきゃー」と声を上げる。

「……その時ね、蓮くん言ってくれたんだ。『僕は恋を大切にする。恋が嫌がることは絶対にしない』って。それでもう、私の心臓は打ち抜かれた訳なのよ」

「そして今日、その蓮くんとついにキスをした」

「きゃー! きゃー!」

 あ、言わなきゃよかった。また話が長くなる。ミウが再び苦笑した。

「あの蓮くんが、私のことを大切にしてくれている蓮くんが、自分の意思でキスしてくれた。勿論、私にとっても初めての経験で……

 おかげでさっきまで、頭も体もふわふわしてたの。何も手につかないし、何も考えられない。ねえミウ、これって私、本当に蓮くんが好きなんだってことだと思うの。どう思う?」

「う~ん、どうなんだろうね。僕たちにはそういう感情がないから。ちょっと答えにくいかな」

「そうなんだ。精霊って不便なんだね」

「あははっ……それで恋ちゃんは、蓮くんのことが今まで以上に好きになった。大切な存在なんだと改めて思った」

「うん、そう。そしてそれはね、蓮くんも同じだと思うの」

「なるほどね」

「だからね、これはもう将来結婚するしかないと思うんだ。そういうことを考えた時、私には蓮くんしか思い浮かばない。これから別の男子と出会うことがあっても、今以上の気持ちになるとは思えない。と言うか、蓮くんより好きになれる人なんていないと思う。そしてそれは、蓮くんも同じだと思うの」

「二人の想いは一緒だと」

「うん、そう思いたい。ううん、違うな、信じたいんだ」

「そっか。でも恋愛のスタートは、まず信じることだからね」

「私、今の気持ちがずっと続くと信じてる。蓮くんだって私のこと、好きでいてくれると信じてる。だからね、そんな未来が見てみたいの。お互いの気持ちが続いて、結ばれている未来。私は見てみたい」

「そっか。うん、分かったよ」

「見せてもらえる?」

「そうだね、何でも叶えると言ったのは僕だ。流石に時間旅行〈タイムトラベル〉なんて頼まれるとは思ってなかったけど、でも未来ならいいと思う。過去でなくてよかったよ」

「どういうこと?」

「未来を知ってる人間が過去に行くと、そこで必要以上の干渉が起こってしまうんだ。言ってみれば、歴史の改変が行われるリスクが生じる」

「なるほど……そうよね。もし過去に行けるのなら、私だって過去の自分に助言しちゃうと思う。その決断は駄目だよ、別の選択を考えた方がいいよって」

「その後どうなるかを知っているからね。だからそっちを頼まれてたら、制約が多いしやめた方がいいって言ってたと思う。

 でも未来なら、話は違ってくる。過去の恋ちゃんが干渉した所で、それは歴史の改変にはならない。その干渉も含めて、未来の歴史になっていくから」

「でももし、未来の私や蓮くんが、私に対して助言した場合はどうなの? それも反対の意味で、干渉になると思うんだけど」

「確かにそうなるね。でもまあ、少しぐらいは大目に見てあげるよ。それも含めて、恋ちゃんが選ぶ未来ってことで」

「……精霊って、結構大雑把なんだね」

「あはははっ。でもまあ、命の恩人へのお礼なんだ。少々のアクシデントには目を瞑るよ」

「じゃあ、連れて行ってくれる?」

「うん、喜んで引き受けるよ」

「ありがとう、ミウ」

 恋がミウを抱き締める。

「それじゃあ準備するね」

「準備って?」

「うん、色々ね。まずは……どれくらい先の未来に行くのか、それからだね。任せてもらってもいいかな」

「いいよ。私に聞かれても悩むだけだし。ミウに任せる」

「じゃあちょっとだけ、静かにしててもらえるかな」

 そう言うとミウは恋から離れ、目を閉じてうつむいた。

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